「視覚障がい乳幼児の子育て支援のあり方」セミナー概要について

1.視覚障がい乳幼児の発達とその特徴

 言語を充分に獲得していない乳幼児期は、視覚から情報を得て模倣により発達して
 行きますが、視覚に障害があると情報量が少なくなる為、受動的で活動量が少なく、
 発達に影響を及ぼしてしまうことが多くあります。

2.全盲の子どもの発達と特性

・運動面では、ややゆっくりなことが多く、はいはい等の移動が難しい場合があります。
・発達に遅れがない場合は、始歩は1歳半から2歳位。(未熟児の場合は修正月齢)
・操作面では、触ることに対する抵抗があることが多くあります(過敏性)
 (手の動かし方が分からない。指先の力が弱い等)
・言語面では、おしゃべりが好きな子が多いが会話になりにくいこともあります。
 (言葉は知っているが、その意味を充分理解せず使っている場合もあります)
・心理面では、外界に対して不安が大きく、新しい事に取り組むのが苦手な傾向が
 みられます。
・生活面では、慣れている場所の移動、食事、排泄、着替え等は、力がついてくる
 と自分で出来るようになりますが、丁寧に教えないと獲得が難しくなってしまいます。

3.弱視の子どもの発達と特性

・ちらっとは見ているようだが、じっとは見ない。
・自分の興味のある物は見るが、他のものをあまり見ない。
・見る距離が近い。聴覚優位。
・見ること、触ること、どちらも集中できないことがあります。
  →環境を整備すると改善される場合があります。

※ 見やすい工夫をして見るポイントを教える事が大事です。
   コントラストを良くする。背景を整理する。
   書見大、ルーペ、単眼鏡など補助具の使用

・運動面では、ややゆっくりなことが多い。
 (0.1位視力があると幼児期の大きい動きでは、気づかれにくいこともあります)
・操作面では、触ることに対する抵抗があることも(過敏性)
・物と関わる時期の遅れや遊びや生活経験の不足などからくる操作性の遅れ、
 粗雑、指先の力が弱い等が見られる事があります。
・言語面では、その言葉は知っているが、その特性を十分理解できていないこと
 もあります。
 (動物や虫、植物など意外と知らない物も多い)
・心理面では、集中力がないと捉えられることもあります。
 (見えにくいから、分からない事が周りに理解してもらいにくい。)
・生活面では、食事・排泄・着替えなどは、力がついてくると自分で出来るように
 なりますが、丁寧に教える事で上手になってきます。
 また持ち物の整理が苦手な場合もあります。

4.中枢性視覚障がいの子ども

・視経験を増やす事が大事となります。
・暗室での光遊びも有効です(光るおもちゃ、ビデオ等)
・コントラストの良い絵本、紙芝居、バルーン遊び等も試してみましょう。
 (静止しているものより、動く物・立体が捉え易い場合もあります)
・コントラストを良くしてみましょう
  →黒いマット・黒の衝立等で背景を整理することが有効です。
  (赤や黄色の物が捉え易い場合があります)
・リラックスできる姿勢を工夫しましょう
  →頭がグラグラしないよう安定させます。
・目と手の協応動作を促します →書見台を利用するのもお勧めです。
・声かけをしながら目の前に提示します →声をかけることで子どもに構えができます
・子どもの好きな物を見つけましょう
  →大人との共感関係を大切にしながら興味を広げていきましょう。